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君の隣

第3章 衝撃ーNONA sideー

「すみません、お待たせしました」
「待ってないよ、バイトお疲れ様」


日曜日、バイトが終わってから、猛ダッシュで待ち合わせ場所へ向かった。
珍しくバイトにお洒落して行ったもんだから、柚愛からの鋭いツッコミが入ったけど。
『まさかデート~~!?』という声を背中に聞きながら、走って待ち合わせ場所の駅へと向かった。


「じゃあ行こうか」
「はい」


電車で何駅かの地元の人しか行かないような遊園地。
この時期はナイター営業している。
小さい頃に何度か来た覚えのあるこの遊園地はいつも空いていて、少し寂れた印象だったが、夜はカップルの穴場なのか、そこそこに活気づいていた。


「ここ、夜ははじめて来たんですけど、イルミネーションすごい綺麗なんですね」
「でしょ??? 観覧車乗ったら夜景も一緒に見えて綺麗なんだよ。 後で乗ろうね」
「はい…!!」


先輩との初めてのデートは本当に楽しくて、私の事をすごく気遣ってくれて、とても紳士で、遠くから見つめていた時のイメージそのものだった。


「お客さんも減ってきたし、そろそろ帰らないとだね」
「そうですね…」
「最後に、あれ乗ろっか」


あっという間だったな…、と少し名残惜しさを感じていたら、先輩がライトアップされた観覧車を指差して首を斜めに傾けながらにっこりと微笑んでいた。

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