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君の隣

第3章 衝撃ーNONA sideー

押さえつけられていた両手が離れた今しかない…!!
とにかく逃げなきゃという一心で安浦さんの体を突き飛ばした。
突き飛ばされた勢いで後ろへ仰け反る安浦さんを横目に、カバンを手に玄関へ走った。


「あっ、おい待てよ!!」


追い掛けてくる…!!
恐怖で足が震える、それでも靴を引っ掛けて無心で走った。
階段を駆け下り、エントランスを抜け、夜の人通りの少ない道をとにかく走った。
駅の近くのコンビニまで辿り着き、後ろを振り返った。


先輩は追って来ていないようだった。


…何とか逃げれた…
でも…無理矢理押さえつけられた感覚がまだ身体に残っていて全身が震える。


びっくりした…
優しくて紳士だと思っていた安浦さんがあんな人だったなんて…


その日は、ついさっきの出来事を思い出しては身体が震え、眠りにつく事が出来なかった。


次の日、受けなきゃいけない講義はあったけど、もし安浦さんに出会ってしまったら…という恐怖から布団を出られずにいた。


…さぼっちゃった…
今日1限からだったのにな…
どうしよう…
どっかで振り替えなきゃ…


あ、来週課題提出だった…
図書館の文献じゃ足りなかったから今日資料室で文献漁ろうと思ってたのにな…
明日にしようか、いや、間に合わないな…
どうしよう…


ほんとは今日は誰にも出会いたくなかったし、きっとひどい顔をしているし、外に出たくなかった。
でも資料を集めないと課題が間に合わないし、単位を落とす訳にはいかない。


…講義室の方へ行かなければ、そんなに沢山の人には出会わないかな…


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