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君の隣

第4章 衝動ーKOUKI sideー

「……………で、何の用???」
「私、及川くんに興味があって」
「は???……」


俺を壁際へと追いやり、腕やらTシャツやらを触ってくる。


「別に、付き合いたいとかそーゆーんじゃないの。 芸能人の人、付き合うの大変そうだし」
「…………」
「気になるだけ。 どんな身体してるのかなぁー、とか、どんなキスするんだろう、とか…」


今時いるんだな、こんなガツガツくる肉食女子…


首に腕を回され唇に唇が触れる。
シャツのボタンを外され、隙間から細い指が入ってくる。
ネイルを施された少し長めの爪が胸の突起に当たり、好きでも無い相手に不覚にも身体が反応してしまう。


「…ふふっ、我慢しなくていいのに???」
「………っ」
「私、誰にも喋らないし、秘密ちゃんと守れる人だよ???」


唇を合わせるだけだったキスが、舌の絡み合う濃厚なキスに変化していき、密室な事もあり俺もその気になってしまった。

彼女のトップスの裾から手を入れ背中を撫でる。


「んっ…」


前に手を回し、胸に触れる。


「あっ…」


ドアをノックする音が聞こえたような気がしたが、彼女との行為に夢中で気付かなかった。


ドアが閉まった音で人が入ってきた事に気付き、視線をやると、今この状況では1番会いたくない人と目が合ってしまう。


なんで深瀬さん………、最悪だ…………


手の動きが止まった事に気付いた彼女が俺の顔を見上げ、そして呆然と立ちすくんでいる深瀬さんにも気付いたようだった。


「あーぁ、見られちゃった。 じゃあ、また今度ね。 ばいばい」


彼女はあまりびっくりした様子も恥ずかしがる様子もなく、崩れた身なりをさっと整えて深瀬さんの横を通り過ぎていった。

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