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君の隣

第1章 平凡ーNONA sideー

「乃南~~、今日どうしたの~~???」
「何が~~???」
「ずっとニヤニヤしてて気持ち悪いよ」


この毒舌な彼女は、バイト仲間の柚愛(ゆあ)。
大学は違うけど、年が同じで杏同様何でも話せる親友だ。


「へっ、ニヤニヤしてました、私???」
「してるしてる。 なに??? なんか良い事あった???」
「安浦さんと、初めて話した」


図書館での出来事があまりに嬉しすぎて、どうやら顔に出てしまっていたようだ。


「えー、あの例の遠くから見つめているだけで満足なイケメンパイセンと???」
「そう、その見つめているだけで満足だったパイセンに、話し掛けられた…」
「えー!! ついに進展したじゃん!!」


今日は平日だからか店が割とすいていたので、受付カウンターでポップ書きなどの雑務をしながらおしゃべりをしていた。


「進展しちゃったよー、どうしよう…」
「どうしようって、先輩から声掛けてきたんでしょ??? 完全に脈アリなんだから、突き進むのみでしょ」
「でもさー、この1年遠くから眺めてるたけでほんとに良かったから…」


横で大きなため息が聞こえる。


「あんたさー、今時中学生でももっとガツガツしてるよ」
「いや、でも先輩と付き合いたいとか思った事ないんだよねぇ… なんてゆーか雲の上の存在というか、実在しない人物のような…」
「とにかく!! 明日会う約束してるんでしょ!? デートの約束ぐらいしてきなよ!!」


今までずっと見つめてるだけで何も出来なかったのに、デートなんて!!
そんなの夢のまた夢だよ…

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