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君の隣

第1章 平凡ーNONA sideー

「え~~!! 安浦さんに声掛けられたの!?」
「うん…、今日も講義の後図書館で会う事になって…」
「すごいじゃん!! この1年何だったのってぐらいの進歩だね!!」


昨日は突然の事で嬉しさよりも驚きの方が勝っててちゃんと目を見て話す事すら出来なかったけど、今日はちゃんと話せるかな…


「杏、だから今日もパンケーキ、ごめん…」
「全然~!! ちゃんと次の約束ゲットしてきなよ~~!!」
「それ昨日柚愛にも言われたよ…」


柚愛と杏は似てるんだと思う。
初めて会った時もすぐに意気投合してたっけ。


「それ柚愛ちゃんじゃなくてもみんな言うって。 乃南オクテすぎでしょ。 まだ高校の時の彼氏の事引きずってんの??? 今時中学生でももっと積極的じゃない!?」
「それも柚愛に言われた!!」


もう、分かってるよーーー。


高校に入ってすぐに付き合った彼は、すごく優しくて、みんなの人気者で、自慢の彼だったーー


何度も何度も浮気を繰り返す事を除いては…


浮気をする度に泣いて謝って、『乃南しかいない』って言ってきて、それでずっと許してきた。
それが卒業前の冬、何度目か分からない浮気をした彼から別れを切り出された。
『今度は浮気じゃないんだ』
『乃南は俺がいなくても大丈夫だよな』
大丈夫な訳ないでしょ。


私の3年間返してよ…


こんな事があって、すぐに気持ちを切り替えることができるはずもなく…
大学に入学してからすぐに安浦さんの事を目で追うようになったけど、でもそれだけ。
仲良くなりたいとか、付き合いたいとか、全く思わなかった。
安浦さんが前の彼と同じだとは思いたくないけど、男の人自体に不信感を抱いていた。

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