テキストサイズ

君の隣

第2章 想いーKOUKI sideー

彼女の事が気になり出したのはいつからだろう。
同じ学部で、同じ授業を取っているらしく、教室でよく見かける彼女。


彼女の名前は、深瀬乃南。


きっかけは、とても単純だった。
学業優先で他のメンバーより仕事をかなりセーブされてはいるが、一応アイドルという職業柄、大学にいるとかなり目立つようで、休み時間や登下校中など、かなりの確率で男女問わず声を掛けられる事が多い。


それが嬉しい訳でも嫌な訳でもなく、それが普通の日常だと思っていた。


その日も、教室に入ると二人の女の子が遠巻きに俺の事を話していた。
一人の子は俺の事を知ってくれているようで、教室に入ってきた俺を見つけるなり隣の女の子にきゃっきゃと何か話しながら俺の方を指差していた。
もう一人の女の子とは、度々授業で一緒になる子だったけど、俺に全く興味がないようだった。


俺もまだまだだな…と感じつつも、よく出会うのに全く興味を持ってくれていない彼女に、俺の方が興味を持つようになった。


どうしたら俺の事を知ってもらえるだろう。


とりあえず授業が一緒になる日は、教室で彼女の視界に収まる範囲に座る事にした。
彼女に近付くと、彼女の周りの女の子達は俺を見つけて騒ぎ出した。
でもやっぱり彼女は全く俺に興味を示さない。


学年が上がり、セーブされてるとは言え忙しくて、仕事の合間に授業を受けに来ないといけない時が増えた。
疲れていた俺は来るなり机に突っ伏して、気付けば授業が終わってるって日が増えた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ