テキストサイズ

神様の願い事

第4章 誤解

《sideO》



智「じいちゃんだよね?」

「は?」

智「翔くんに鏡あげたの。じいちゃんでしょ?」


仕事が終わって家に帰る。
飯を食って風呂に入って、さあ1人の時間だと思えば姿こそ見えないけどじいちゃんが居るんだ。


「あ~...、なんだか物凄く欲しそうだったんでな。あげちゃった」

智「あげちゃった、じゃないよもう」


そんなじいちゃんと寝る前の日課、おしゃべりをしてる。


智「商店街に飛ばされるのだけでもウンザリしてたのに、翔くん家にまで飛ばされちゃうじゃん」

「駄目だったかの?」

智「そりゃ...」


思わず言葉に詰まった俺を見て、じいちゃんがほくそ笑んだ気がした。


智「...他の人にまであげないでよ? 本当困るからね?」

「大丈夫じゃ。あの鏡はアイツにしか使えん」

智「は?」

「他の者が持ったところで、なんの意味も無いんじゃよ」

智「へ...」


翔くんにしか使えなくて、翔くんにしか意味が無い。


智「どういうこと?」

「まあ、そういう事じゃ」


いや、わかんねえし。


智「俺が、...猫の姿をした神様があの鏡から出てくるって翔くんは知ってるの?」

「言ってはないが、馬鹿じゃなければそのうち気付くだろうな」


だから背中にブチ当たった俺を見て驚いてたのか。


智「そんなに、翔くんは切羽詰まってるって事か」

「は?」

智「だから、いつでも神様に会えるようにしとかないと困るって事でしょ? それだけ翔くんの悩みは深刻なんだ」

「はい...?」


そうかなるほど。
だから他の人には意味が無いのか。

凄く悩んで凄く困ってるから、神様の助けが必要なんだ。


智「そんなに好きなんだ。その人の事...」

「はあ?」


未だに誰かも分からないのに、俺はちゃんと応援してやれるかな。


「本当におぬしは...」


ちゃんと神様の役目をしてやれるかな。


「呆れてモノが言えんわ」


何故かじいちゃんは溜息をついてるけど、そんなの今は対して気にならない。


そんな事より、翔くんの方がもっと気になってしまったから。






ストーリーメニュー

TOPTOPへ