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神様の願い事

第5章 混乱

《sideM》



潤「しっかし驚いたな」

和「まさかキスなんてしてたとはね」


駐車場でバッタリ出くわしたニノと肩を並べて歩いていた。


和「だから編集長は二人が付き合ってると思ったんだ」

潤「だね」


壁に張り付いて聞いた内容は、俺達の知らない事ばかりで。
二人で顔を見合わせ驚いてたんだ。


潤「しかし大胆な事するよな。恋人に思わせる為にキスするなんて」

和「しかも仕掛けたのがあの大野さんなんてねぇ...」


ぽく無いと言えばぽく無いんだけど、でも有り得そうだと言えば有り得そうだし。


和「最近様子がおかしかったのってそれかなぁ」

潤「だろうね」

和「とすると、やっぱあの二人...」

潤「あ」

和「ん?」


辿り着いた楽屋のドアがほんの少し開いていた。
開けようと手を掛けたけど、なんだか人の気配がして。


和「どうしたの?」

潤「しっ」


俺の肩越しに顔を覗かせるニノの口を咄嗟に押さえた。


和「もごっ」

潤「声出さないで。…そっとだよ」


ニノにドアの隙間から中を覗かせてやると、ニノは目をぱちくりして。


和「え、なに?」

潤「うん。なんだろね」


中には笑顔のリーダーと、きょとんと立ち竦む翔さんが居た。





智「ほら」

翔「え」


笑顔で両手を広げて待ち構えるリーダーと、困惑する翔さん。


智「あれ? 今日はいらなかった?」

翔「や、いいい、いる」

智「そ? んじゃほら」

翔「あ、どうも...」


抱き合っている。抱きしめあってる。

だけど何故か少し不思議な光景が広がっていた。





和「あれなんなの?」

潤「さあ?」


恋人同士のハグには見えない。


和「すげぇ笑ってんじゃん」


笑顔で翔さんの背をぽんぽんと撫でる余裕たっぷりのリーダーと。


和「なんでアッチあんなカチコチなの」


おどおどと背を丸めてリーダーに包まれるぎこちない翔さん。


和「ね、どういう事?」

潤「わかんねえ(笑)」


それを目の当たりにしてキョトンとするニノは、俺を見上げて首を捻っているし。


楽屋の中の様子も不思議で可笑しいし、ニノの悩む姿も可愛くて可笑しいし。



なんだかんだで平和だな、なんて思いながら俺は込み上げる笑いを押さえられなかった。






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