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神様の願い事

第5章 混乱

《sideN》


お、ウチの名探偵が目を光らせた。


潤「...何処かで会った事、ありません?」

「え?」

潤「なんだか初めてじゃ無いような気がして」

「ふふっ、やっぱりお前は鋭いな...」

潤「じゃあやっぱり何処かで」

「...無いよ。ワシとはね」

潤「え?」

「まあ長生きしてたら、そのうち分かる」

潤「長生き...?」


おじいちゃんは誤魔化すように話を終わらせた。
潤くんも、腑に落ちない顔はしてるけどそれ以上ツッコまないし。


「で? 本人に関しての願いしか聞かないと分かっててリーダーの願いを?」

和「ああ、俺達の願いだから」

「は?」

潤「リーダーが幸せになる事、それが俺達の願い」

「...それなら、loveの願いじゃ無いじゃろう?」

和「loveだよ」

「へ?」


その辺の作戦は練り済みだ。
本人の願いしか聞かないから、俺達の願いだと言って。
loveに関しての願いしか聞かないから、リーダーのloveを願う事にしたんだ。

それもどうしてそんな願いをしに来ようとしたのかと言えば、明らかに意識し合ってるのにわざと気付かないフリをしたりと、見ていて焦れったいからだ。

それに、あの猫化。

本当の幸せを手に入れれば猫化は治ると、言っていたから。


潤「あれ...? ひょっとしてリーダーが言ってたお爺さんって」


名探偵松本の目の色が戻った。


和「あ? まさか...」

「へ?」


そのすっとぼけた表情、なんだか知ってるような。


潤「リーダーを猫っぽくしたの、ひょっとしてお爺さんじゃない?」

「えっ」

和「本当の幸せを手に入れろとかなんとか」

「言っ、言ってない、言ってないよっ」


慌てふためくその姿もなんだか見たような気がする。

俺の隣では、やはり潤くんが目を輝かせておじいちゃんを見てるし。


潤「...まぁいいや。とりあえず願い事、聞いてくれる?」

「う、うん。話してみよっ」


貫禄を出す為にわざと古臭い話し方をしてるのか、たまに素に戻ったりする。


キャラになりきれてないそんなおじいちゃんが、なんだか少し可笑しくもあり、可愛くも感じた。







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