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神様の願い事

第6章 名探偵

《sideS》


相葉雅紀がウチに来ていた。


雅「だからさ、やっぱ勘違いだったんだよ」


メシを食って酒を飲んで、今は少し目を潤わせながら愚痴を言っていた。


雅「よくよく見るとお似合だよ、あの二人」


と随分前から言ってはいたが、やはり処理しきれないんだろう。

だから同じ、“メンバーに片想い”をする俺を相手に胸の内を吐き出してるんだ。


翔「や、でも俺は、智くんと松潤がデキてるのかなって思った事あったよ」

雅「ええ?」

翔「ほら、スキンシップ結構するじゃん? 前に楽屋の前で怪しい会話も聞いたし…」

雅「あやしい?」

翔「可愛いなぁとか、皆が戻って来るからやめろとか」

雅「くっそ松潤っ。なんでそんなモテるんだよっ」


そりゃあカッコイイからに決まってんだろ。
だけどなあ。アイツが相手だと太刀打ち出来ない。
だって絶対負けるし。


雅「勝てねぇよ...」


やっぱコイツも同じ事を思うんだな。


翔「でも、まだそうと決まった訳じゃ」

雅「でも二人でメシとか行ったりしてさ」

翔「そんなの言ったら今だって同じじゃん? しかも家だよ?」

雅「そか」

翔「そうだよ。なんならコッチのがヤバイでしょ(笑)」

雅「ははっ、そうだね」


やっと少し笑みが戻った。
良かったな、なんて思ってたのに。


雅「“きっと幸せになれる”なんて嘘じゃんかあ。神様のバカヤローっ」


泣いた。泣き上戸か。


「呼んだ?」

雅「へ」


聞き覚えのあるその声に振り返った。


雅「リーダー? え、どうしてここに...」

「へ? あれ、猫じゃなかった」


ペタペタと身体を触り、あれ?なんて小首を傾げる。
その姿はまさに智くんと見間違ってしまう程だ。


翔「神様だよ」

雅「は?」

翔「ほら、付いてるでしょ? 猫耳」

雅「耳...」


今でこそこれは神様だと分かるけど、俺だって慣れるまでには随分と時間が掛かった。


雅「え、本当に?」

翔「尻尾だって生えてるよ」

雅「本当だ...」


だから相葉くんが疑いながら変身した神様をぐるぐると見回すのなんて、当たり前の事なんだ。


雅「でもこれ、リーダーだよ...?」


瓜二つなんだから。



智くんに見えたってそれは、当たり前なんだよ。







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