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神様の願い事

第6章 名探偵




「あっそれ、俺の」

翔「ははっ、神様も呑む?」


別に“俺の”じゃないけど。
極上の酒だと舌鼓を打った酒を見て、神様は手を伸ばした。


雅「でも、なんでリーダーなの?」

翔「ああ、これしか変身できないらしいよ」

雅「は?」

翔「他のメンバーにもなれるのか試して貰ったんだけど、無理らしくて」

雅「へぇ...?」


未だ相葉くんは不思議そうに神様を眺める。


「もぅいいから。呼んだのどっち?」

翔「お前じゃね?」

雅「あ、俺か」


その不思議な眼差しに困惑したのか、神様は話題を強引に変えた。


「なに、どうしたの」

雅「だって嘘ついたじゃん。俺、ぜんっぜん幸せになれない」

「ええ? 嘘なんて」

雅「だってちっとも俺の事見てくれない」

「そうかぁ?」

雅「今日だって松潤とばっかりイチャイチャしてさっ」


鼻息を荒立てる相葉くんを横目に、神様はふぅっと一息ついたんだ。


「それを言うなら、相葉ちゃんもでしょ?」

雅「なにがっ」

「ずっと翔くんとイチャイチャしてんじゃん」

雅「え」


話し方も間も、あの人にそっくりなんだ。


「今だって翔くんちで何やってたの?」

雅「何って別に...、二人でメシ食って」


少し唇を尖らせる仕草だって全く同じだから。
だからそこに、ヤキモチを妬いてる智くんが居るんじゃないかと錯覚を起こすんだ。


「だろ? 普通の事じゃん。変な目で見るから、なんでも疑うんだ」

雅「あ~あの、キシン?ギシン?なんだっけ」

翔「疑心暗鬼ね」

雅「そうそれっ」


漸く笑顔を見せる相葉くんを、神様は安心した顔で見てる。


「だから考え過ぎなんだよ。素直が一番でしょ?」

雅「ふふっ、そうだね」


あんな話し方されちゃ、例え耳が付いてようが尻尾が生えてようが、それは完全に智くんで。


「...翔くんは?」

翔「へ?」

「相葉ちゃんの事、好きなんじゃないの?」

翔「はぁっ?違うよっ」


そんな顔で、そんなふざけた事を聞くから俺だって焦る。


「最近密着率高いから、好きな人って相葉ちゃんなのかと」

翔「いや、断じて違う」

「ふふ、そっか」

雅「ぇ、その言い方酷くない?」


相葉くんが居るのに、俺はこんな事を口走る。


それ程に俺は、神様と智くんの見分けがつかなかったんだ。




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