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神様の願い事

第6章 名探偵

《sideO》



翔「さ、誤解が晴れたところで飲み直そう」

智「あ、でもそろそろ帰んなきゃ」

翔「ええ」


“なんだ勘違いかよ”と笑うと翔くんも笑って。
気まずい空気が嘘みたいに晴れた。


翔「駄目だよ気分いいんだから。まだ時間あるでしょ?」

智「まあ、時間は」


あるよ。あるけどね?


翔「じゃあいいじゃん。はい、極上のお酒だよ♪」


にっこり笑って俺に酒を差し出す。
そんなに気分がいいのか。
だけど俺は。


智「...じゃあ、もうちょっとだけ」

翔「そう来なきゃ!」


ドキドキすんだよ。
隣に座って肩が触れるだけで、何故かドキッとするんだ。


翔「ふふっ」

智「なに? 急にご機嫌さんだね」

翔「そりゃあ。変な疑いも晴れたし、ね」

智「ふふ、ごめん(笑)」


こんなにウキウキして子供のような翔くんを見たのは久し振りだ。


翔「ああ、楽しい♪」

智「そんなに?(笑)」


無邪気だからかな。
久し振りに見たから、俺も嬉しくなってドキドキしてるだけかもしれない。


智「でも、悩み事はまだあるでしょ?」

翔「ん?」

智「相葉ちゃんじゃなかったけどさ、いるんでしょ? 好きな人...」


ドキドキして落ち着かなくて。
それなのに、隣の翔くんは楽しそうに揺れて俺にぶつかるから。


翔「好きな人...って」


動揺してたのかな。


翔「それ、前も聞いたよね?」


明らかにおかしな事を聞いてしまった。


翔「智くんにした事あった? そんな話...」


だから、俺じゃなくて相談されたのは神様なんだ。
何故にこうも俺の脳は馬鹿なんだ。


智「なんか...、寂しそうにしてたから...。相葉ちゃんじゃなかったら誰なのかなって、思っただけ…」

翔「寂しそうに見えた...?」

智「今だって言ってたじゃん。寂しかったって...」


だから甘えたんじゃないか。
俺に抱きついて、渾身の力で甘えただろ。


翔「それは...、貴方が、避けるから...」


揺れてぶつかった肩を元の位置に戻し、隣から視線を投げ付けてくる。


翔「貴方と目が合わなくて、寂しかったんだよ」


その真っ直ぐな瞳はキラキラしていて。

だけど眉は情けなく垂れ下がっている。


王子様みたいな瞳に似合わず下げた眉が、俺の胸をキュッと掴んだ。





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