
神様の願い事
第6章 名探偵
智「え、俺...?」
翔「そう貴方」
寂しかったのは俺のせいだと、翔くんは訴えた。
智「好きな人の事で悩んでたんじゃ」
翔「だからどこの情報よそれ」
少し酔ったのか、そんな事を言うんだ。
智「いや、只のカンだけど...」
翔「当てにならないでしょ。貴方のカンなんて」
下げた眉はそのままに、唇を尖らせて拗ねるんだ。
智「え? でも、もっと前からなんか変だったじゃん」
翔「んな事ないよ」
智「んな事あるよ。だから俺、ちゃんと応援してやんなきゃって」
翔「は?」
なんだ? 何が違うんだ。
神様には好きな人と上手くいってないとかどうとかウジウジ言ってたくせに。
翔「俺に好きな人がいたら、貴方は応援するの?」
智「そりゃ...、だって、翔くんには笑顔でいて貰いたいから...」
“当たり前だろ”と笑ってやりたかったのに、急に胸がチクッとして、言葉に詰まってしまった。
翔「...無理だよ。貴方が応援すればする程、俺の願いは叶わないよ」
智「え...」
言葉に詰まってしまった俺をチラッと見て、急に突き放すような言葉を吐いた。
智「どうして」
翔「だって無理だよ」
笑って欲しいのに。只、ニコニコと笑っていて欲しいだけなのに。
翔「俺の事なんて、なんの興味も持ってないよ」
チラッと見た目をそのまま固定して、俺を覗くようにするんだ。
智「...そんな事無いよ。翔くんに興味無いなんて、そんなコいる訳...」
どうしてそんなに俺を覗く?
その真っ直ぐな瞳に吸い込まれそうだ。
智「てことはやっぱ、いるんだ...?」
翔「...」
押し黙ってしまったけど、その瞳は少し揺らめいた。
智「ほら」
翔「なに」
智「やっぱいるんじゃん」
指をさして言ってやった。
だって俺に隠すから。
こんなに気になってるのに、何も言わないから。
智「...なんだよ、やっぱ、いるんじゃんか…」
さっきよりももっと酷くなった胸の痛みを誤魔化そうと、俺は少しふざけて言ったんだ。
