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神様の願い事

第6章 名探偵

《sideO》



「う~ん、時間が無いぞよ時間が」


なんだったんだあの電話、とか思いながら首を捻っているとじいちゃんが独り言を呟いた。


「こっちの時間も無いが、そっちもそろそろ潮時か」

智「何の話」

「いやぁ、三人寄れば文殊の知恵とは良く言ったものだな」

智「なにそれ」

「ふふ、今のお前さんは分からん。アイツに教えてもらった言葉じゃからの」

智「アイツって、じいちゃんの大事な人?」

「凄いんじゃ。頭も良くて物知りで...、まぁちょっと残念な所もあるがのぅ」

智「ふふ、俺の周りにも居るよ、そういうヤツ(笑)」

「だろう?(笑)」


なんだか翔くんに似ているな、とつい笑みを漏らした。
じいちゃんもつられて笑ったのに、急に小難しい声を出して。


「ってそんな話してる場合じゃ無いんだったな...」


俺を映す鏡は何か困っているようで。
鏡の奥で、じいちゃんが頭を抱えてる姿が思い浮かぶ。


智「そろそろ迎えに行かなきゃって言ってたけど、もう時間ないの?」

「まぁその時になれば、ちゃんと迎えに行けるんじゃけど」

智「うん」

「いい報告を持って行きたくてな...」

智「うん?」

「なのにお前さんときたら呑気でもぅ」


“堪んないよ”と呆れ口調で溜息まで吐かれる始末だ。


智「え、なに。俺のせいなの?」

「もうそろそろ分かってきたじゃろう?」

智「なにが」

「...自分で気付かせてやりたかったんじゃけど、このままでは周りの方が先に気付きそうじゃ」

智「へ? 周り?」

「お前さんの周りには名探偵が揃っておるからな(笑)」

智「は?」


何の話だ。

じいちゃんが困っているのは俺のせいだと言うし、俺が鈍いと呆れ果てる。

更には俺の周りに名探偵がいると言うんだ。


智「何に気付けば...」


よく考えてみれば、ぽっと出のじいちゃんに付き纏われて“本当の幸せ”を見つけろとか無理難題を押し付けられて。


智「てかじいちゃんって、誰なの...?」


俺が未だにその幸せに気付かないから傍を離れられないんだと。

俺が気付けば、アイツを迎えに行ってやれるのにと言うんだ。

何を気付かせようとしてるのか、わかり易く言えってんだ。



それなら、俺だってじいちゃんに協力してやれるのに。





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