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神様の願い事

第1章 不思議な噂

《sideS》



潤「一緒に乗ってく?」

智「今日は用事無いの?」

潤「友達とメシ行くんだけどついでに送ってくよ」

翔「あ、だったら俺が」

潤「ん?」

翔「俺はもう帰るだけだから、俺が送ってく」


勇気を出した。
俺が俺がと連呼してやった。


潤「そう…?」


お前は約束があるんだろ? 俺はもう暇なんだ。
頼む松潤、引いてくれ。


潤「じゃ、翔さん頼むよ」

翔「うん」


よし。


智「悪いね。ありがと」

翔「全然いいよ。気にしないで」


普通に言ってやった。
サラッと、それは格好良く。





翔「気分はどう?」

智「も、全然だよ。通常通り(笑)」


俺の運転する隣に智くんが居る。
この狭い空間に二人だけだと思うだけで、俺は何故か緊張してた。


翔「なら良かった」

智「ん、ごめんね? 迷惑かけて」

翔「迷惑なんてかかってないよ?」

智「ふふ、そう?」


俺は前を見てるけど、智くんがどんな顔で笑ってるのか分かる。
丸くて垂れた目尻に皺を寄せて、ふにゃっと笑ってるんだ。


翔「家どこだっけ…」


神様が言ってたな。
メシでも誘えと。


智「あ、えと」


取り敢えず指示通りに進む。


翔「あ…、ひょっとして俺ん家と結構近いかも」

智「え、そうなの?」

翔「うん」


これはキタな。


智「俺最近引っ越したばっかでさ。なんにも分かんないんだよね」


ほらキタ。


翔「いいメシ屋あるよ? 行ってみる?」


完璧だ。さりげない。
俺って頭いいな。


智「メシ?」

翔「うん。お腹空いてない?」


頼む、減っててくれ。


智「お腹は空いてるけど、それって」

翔「ん?」


なんだどうした。
心臓が破裂しそうだ。


智「それって、二人で…?」


俺は頭をフル回転させた。
ヘンな間が空かない様に一瞬で考えるんだ。

メシに誘ったら答えはyesかno。この2択しか無いと思ってた。

なのに予想外の言葉が智くんの口から出たんだ。


二人きりと言ったら断るのか?
それとも他に人を誘うと言ったら断るのか?


どっちだ。どっちなんだ。


智くんは、俺のどんな言葉を待っているんだ。


くっそ。


教えて、神様。






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