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神様の願い事

第1章 不思議な噂



翔「久し振りだし二人で…と思ったけど、誰か呼びたい人いるなら呼んでいいよ?」


迷った末に妥協した。
これならどっちにも取れる。


智「そう?」

翔「うん。呼ぶ?」

智「ううん、いい。二人でいこ?」


チラッと様子を見た智くんは笑っていた。
少し照れ臭そうに、だけど少し嬉しそうに。


智「なに? あんま見ないで。なんか恥ずかしい」


うお。
少し頬を赤らめた智くんは最強だ。
俺をチラッと見て、恥ずかしそうに顔をそらした。


翔「じゃ、いい行こうか」

智「ふふっ、うん」


噛んだ。
しかも笑われた。
ここぞという時の俺、こんなんばっか。

ま、いいか。
智くんも楽しそうにしてるし、何よりも雰囲気がいい。


翔「着いたよ」

智「わ…。翔くんぽい」


店に1歩入ると智くんは店を見渡した。


智「すっごいおしゃれだね」

翔「でしょ?」


イチオシの店だ。
智くんも気に入る筈。


翔「これ食べて。絶対好きだよ」

智「ん? ふふっ」


俺のオススメを嬉しそうにフォークでつつく。
ぱくっとその小さな口に入れると、目を見開いて俺を見た。


智「んまっ」

翔「でしょ? 貴方絶対気に入ると思ったんだよな」

智「てか、翔くんと一緒なら何食べても美味しいよ」

翔「えっ」


ニコニコと笑いながら言う。
俺は何故かその言葉が凄く嬉しくて、思わず心臓が跳ねた。


智「だってたぶん味覚一緒でしょ」


俺がドキドキしているというのにこの言い様。


翔「あ、ああ。そう言う事ね…」


明らかに肩を落とした俺を見て、智くんは笑うんだ。


智「だから。翔くんと一緒だと安心して食べれるんだよ」

翔「え?」

智「だって絶対美味しいから」


嬉しいんだかなんだか。
取り敢えず複雑。


智「俺の好きな味分かるでしょ?」

翔「うん」

智「俺も分かるよ。翔くんの好きな味」


うふふふ。


智「ほら、これ食べてみて」

翔「やばっ」

智「んまいでしょ?」

翔「くっそうまい」

智「ふふっ」


やべえ。
楽しい。


気心の知れたメンバーと二人きりでメシを喰う。
今の状況は只それだけ。


なのになんだこのワクワクは。


なんだこの浮かれた心は。




やっぱ俺、智くんの事…。






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