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神様の願い事

第7章 謎のオバケ



飄々とした態度が一変、目を泳がせ口元を隠す。
その態度に煮え切らなくて、俺は更に詰め寄る。


翔「こっち見てって」

智「だから、近いんだってば」

翔「今に始まった事じゃないでしょ?」


逸らした目を伏せ、俺の事なんて見ようともしない。
俺は只、貴方が見たいだけなのに。


翔「隠すなってば...!」

智「...っ、ちょ」


だからその頑なに隠す手を掴んだんだ。
手を掴んで、思いっきり引っ張ってやった。


智「なんだよ...」


反動でよろけた身体はベッドに沈み、俺は掴んだ手を離さないままその上に覆い被さる。


翔「それはコッチの台詞だよ」


顔の隣に投げ出した手を掴まれて、諦めるかと思いきや未だに目を合わせない。


翔「どうして、俺を見ないの?」

智「見てるよ…」

翔「どこが」


頑固なんだ。見てないのに見てるとか、明らかに嘘を付くんだ。


翔「やっぱ嘘つきなんだ?」

智「だから、嘘なんてついてないって…」

翔「見てないくせに」

智「は?」


漸くチラッと向いた目は、少し迷惑そうで。


智「…見たらいいんでしょ?」


眉間にも皺を寄せた。


智「見るよ。見るから、いい加減どけって…」


その態度に腹が立ったんだ。


翔「何怒ってんだよ」

智「は?」


この人が怒ったところなんて見た事がない。
だけどその少しの不穏な空気に、俺は思わずそう口走ってしまった。


智「重いだけだよ…。だから、どいて」


怒ればいいのに。
そんな心情すらも、俺に晒さない。


智「近すぎ。いい加減、恥ずかしい(笑)」


はらまた。そうやって誤魔化すから。


翔「どかない」

智「え?」


ひょっとして俺は、この人の事何も知らないんじゃないかって。


翔「ちゃんと見せてくれるまでは、どかない」


本当の自分を見せてくれてないんじゃないかって、不安になるんだ。


智「はぁ…?本当冗談抜きで、重いんだって…」


それだって嘘だろう?

だって苦しくないように体重は掛けてないんだから。


翔「嘘、つかないでよ…」


俺に嘘をつかないで。

本当の貴方が見たいんだ。


何を思って何を感じてるのか、俺に教えて。





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