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神様の願い事

第10章 恋人の定義

《sideS》



ちきしょう、寝れない。

アイツらの話が衝撃すぎて、頭の中はその事ばっかりだ。


翔「あ~~、頭冷やすか」


すっかり寝る体勢だったのに、俺はもう一度シャワーを浴びた。
だって純粋な智くんはそんな事微塵も思ってない。
とてもピュアで、キュートな人なんだ。



ガタタッ


翔「ん…?」


キュッとシャワーを止めると、部屋から何やら物音がする。
ひょっとしてこの音は。


智「なるほどな…、だから使えるんだ」


やっぱり。


翔「智くん」


その背に声をかけると、くるりと振り向くあの人が。


智「あ、ごめんね? また試してた」

翔「鏡?」

智「うん」


ふんわりと笑った顔を苦笑いに変え、少し困った顔を見せる。


智「やっぱ使えちゃうなと思ってね」

翔「だね」

智「しかも帰れるようになってる(笑)」

翔「便利じゃん(笑)」

智「まぁ便利だけど」


鏡に向き直る智くんは、頭をポリポリと掻いて。


智「パワーアップしちゃってんな、俺…」

翔「うん?」


小さな溜息をついた。


翔「なに、どうかした?」

智「いや…、てか、ごめんね? もう寝るとこでしょ?」

翔「と思ってたんだけど、寝れなくてさ」


“丁度よかったよ”と俺が言うと、智くんは少しはにかんだ。


智「ふふ、俺も」


智くんはピュアなんだ。


智「翔くんが眠くなるまで居てもいい?」


純粋なんだ。


翔「もちろんだよ」


ほらな、こんな可愛い事を言うんだぞ。
いい歳した男が、いい歳した男に。
こんな可愛いセリフを誰が吐けるんだっての。


翔「じゃあちょっとおしゃべりしようか」

智「ふふっ」

翔「ん?」

智「“おしゃべり”って(笑) 翔くんてたまに可愛い事言うよね」


笑う貴方の方が数倍可愛いんだ。


智「なに?」

翔「や、可愛いなって」

智「は?」

翔「見とれてた…」


貴方はまたプッと笑ったけど。



俺のこの想い、貴方が大好きなんだってこの想い。



どうすれば、貴方に伝えられるだろう。





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