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《sideO》



智「ねえじいちゃん」

「なんじゃ」

智「男って、sex出来るの？」


仕事を終え、日もどっぷり暮れたところで漸く家に帰された。
そんな俺は、疲れた身体を休める訳でも無く、頭にずっと渦巻いていた疑問をじいちゃんに投げかけた。


「いやそりゃ、出来るじゃろ」

智「や、じゃなくて。男同士で、って事」

「は～ん…」


なんだその返事。


「やっぱりまだじゃったか」

智「え、出来るの？」

「なるほどのぅ。だからそんな物足りなさそうな顔を」


どうやらじいちゃんには見抜かれていたようだ。
充分幸せなのに、なんだか物足りない。
満足出来ていないという訳でもないのに、もっと、もっとと翔くんを欲してしまう自分がいた。


「まぁ、知らなくて当然か。ワシもその歳ではそんな事微塵も考えた事無かったからの…」

智「そうなの？」

「んでも状況が変わっているというのにその調子なのか。普通好きな男が出来たら少しは考えるモンじゃろ」


“まったく情けない”と溜息を吐かれたが、そんな事よりもだ。


智「で、それどうやんの？」

「どうって…、普通じゃよ？ 要は“繋がる”だけじゃ」

智「繋がる…？」


どう、繋がるんだ。
手を繋ぐとかぐらいしか思い付かないんだけど。


「まぁ、自然とわかるじゃろ。“翔くん”だってお前さんと繋がりたいと思えば調べるじゃろうて」


自然に分からなかったから聞いてるんだけども。


「で、それはそうと」

智「なに？」

「ちょっとワシの時代に戻ってくる」

智「そのまま帰りなよ」

「いや帰りたいんじゃけど、お前さんを猫にしたまま帰れないからのぅ」

智「え？ 俺治ってるでしょ？」

「ワシには見えとるが？」

智「何が」

「耳、と、尻尾」


人間には見えてないだろうが、ワシにはずっと見えていると。
じいちゃんはそんな言葉を吐いた。


智「は…？」

「完全に治ってないという事じゃ。いつまた飛び出るかもわからんぞよ？」


とりあえず、アイツの残りの寿命を確認してくるとじいちゃんはどっかに行ったけど。


智「ちょ、こっちの方が大事じゃん」


爆弾発言だけ残して、じいちゃんは焦る俺を見捨てたんだ。