
神様の願い事
第11章 オトコの役割
いやしかし。
なんであんなエロいんだこの人。
軽くキスするだけじゃ駄目で、時間も無いと言うのに深く深くと俺の咥内に潜り込み、微かに吐息を吐いた。
“あ、引っ込んだ。ありがとね”なんて軽く笑ってすぐ離れたけど、逆にコッチに火がつくってモンで。
ヘラヘラ笑いながら皆と合流し、ふわふわと収録に挑み、終わった今は俺が怒ってる事なんてとっくに忘れて隣で居眠りをしてる。
翔「起きないなら俺ん家行っちゃいますけどぉ~…」
智「すぴー」
いいんだな。起きないし。
俺はちゃんと聞いたんだ。何も卑怯な真似はしていない。
翔「よっ…と」
寝惚けている智くんを抱えて家に引き摺り込み、取り敢えずソファーに寝かせた。
引き摺り込むとか言うと聞こえは悪いけど、むにゃむにゃと返事はしていたんだ。
“着いたよ、歩ける?”なんて聞くとむにゃむにゃと。
なんて言ったかは分からないけど。
翔「あどけないな…」
スヤスヤと眠る顔は、さっきの智くんとはまるで違う。
俺に縋るように、助けを求めるかのように迫る智くんはとても妖しくて。
妖艶と言うのかなんと言うのか、とにかく、とてつもなく“エロ”かったんだ。
翔「どこから出るんだよ、あの色気」
ふわふわなほっぺをツンツンと突いてやると、擽ったそうに首を竦めた。
それは子供みたいにあどけない仕草なのに。
翔「不思議だよなぁ…」
急にガラリと様子を変えてくる智くんは凄くアダルトなんだ。
智「なにが…?」
調子に乗って綺麗な鼻筋を撫でていたら薄目を開いた。
智「なにが、不思議なの…」
寝惚け眼なんだろうが、この薄目ですら妖艶に見えてしまう。
翔「いや…、ドキッとするから…」
智「え?」
翔「その、目が…」
その瞳に魅了された俺は途端にカタコトになるんだ。
何故ならドキッとして、動揺してしまうからだ。
智「目?」
きょとんとしたまぁるい目にも、ドキッとするんだよ。
だって急に無垢になるから。
翔「なんだろな…」
智「へ?」
やっぱこんなの初めてだわ。
翔「こんな人、見た事ないよ」
こんな男に、出会った事無い。
もはや男なのかなんなのか。
とにかく俺を魅力してやまない生き物だと言う事だけは、分かる。
