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神様の願い事

第2章 秘密

《sideO》


確かにおかしい。


この間、松潤が『翔さんがおかしい』と心配していた。
それから数日経っているし、もう大丈夫かなと思ったけどまだおかしいみたいだ。


雅「赤ちゃんみたいだね」

翔「ぶほっ」


俺が差し出した紙コップをチラ見して動かないから、翔くんの口元に近付けてやった。
するとそのまま吸い付いてゴクゴクと無心で飲み干した。


智「あ~ほら、大丈夫?」

翔「だっ、大丈夫」


松潤から受け取ったタオルで顔を拭いてやると、目をぱちくりしながらそのタオルを奪い取る。
んで、自分でせっせと拭き始めた。

それまでは自分の労力なんて使わずにされるがままだったのに。


翔「な、なに、か?」

智「や、別に...」


俺を避けている訳でも無さそうだし、何なんだろうと翔くんの顔を覗いた。
すると、俺をチラチラ見ながら口を開くんだ。

完全に目を合わせる訳でも無いし、完全に目を逸らす訳でも無い。

なんだろう。

やっぱあのキス。

気まずいだけなのかな。


和「珍しいね、翔さんがそんなぼーっとするの」

雅「体調悪いの?」

翔「や、大丈夫。ははは」


翔くんの渇いた笑いが響き、松潤は目で俺に訴える。ほら、おかしいでしょ? と言っている。


潤「本当に大丈夫なの?」

智「う~ん...」


松潤の隣りに腰掛けると、コソッと耳打ちしてくる。
たぶん大丈夫だよと答えたかったけど、もう水滴なんて付いてないのに未だ翔くんはタオルをゴシゴシやって手放さないし。


智「そんな気にしなくていいのに...」

潤「え?」


別に俺はどうって事無いし。

あんなおかしくなってたらコッチだって気を使う。


智「なんとかしなきゃな…」

潤「なにが?」


何とかするってどうすんだ。

あんな挙動不審相手にどうしろと。



取り敢えず、話し合いかな。







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