
神様の願い事
第2章 秘密
翔さんの話はこうだ。
友達の事なんだけどね? 好きな人の家に歯ブラシが2本あったそうなんだ。
その人は男で、もう1本の歯ブラシも男なんだけど、この2人は凄く仲がいいんだ。
男同志の恋愛も珍しくなくなった昨今、この歯ブラシの意味はなんだと思う?
という事だった。
全くまどろっこしいな。
翔「松岡くんの歯ブラシ、相葉くんちにもあるの...?」
和「あれでしょ? アナタが買ってきた海外土産でしょ?」
雅「そう。ウチに泊まった時に丁度いいやと思って歯ブラシあげたんだけど、次の日すっかり忘れて仕事に行っちゃったんだよね」
和「土産忘れられるとか最悪だな(笑)」
雅「すっごい喜んでたから、もう1本あげた程なのになぁ…」
なるほど。
そのもう1本の歯ブラシが、あの人の家にあったって訳か。
雅「てかそもそもその人はさ、男を恋愛対象として見てるの?」
翔「え...、や、どうだろう…。ちょっと、わからないな…」
雅「いでっ」
なんでわかんないかな。
そんな事を言っちゃあ、ほら。
雅「痛いよニノ~、足おもっきり踏んでるよ? って、あれ、翔...ちゃん?」
今度は目を剥いたまま1点を見つめてる。
和「でも、あれだよ? 恋なんていつ始まったか気付かないものなんだって」
翔「え?」
和「いつの間にか好きになってたって事、聞くじゃん? そんなのに性別なんて関係なくない?」
雅「え...って事は、やっぱその歯ブラシの人はコイビトかもしんないって事?」
もぉ。また話が戻っちゃったじゃん。
和「...だったらアナタも、あの白い歯ブラシはコイビトのなんですか?」
雅「へ? だからあれは松にぃの...」
和「だから恋人とは限らないんだよ。相葉さんはそうなんでしょ?」
雅「そっ、そうだよ。当たり前だよっ」
和「それに松にぃは、カノジョいるでしょ?」
雅「そうだよっ。只面倒見がいいから。そんでよく呑みに連れてっては酔っ払って泊まったりするだけだし。だから松にぃは問題無いからっっ」
和「...なんで俺に全力で言うの」
何故か俺の方を向いて鼻息を荒立てて話すけど。
だけど翔さんもしっかりと聞いているようだ。
眉をしかめながらウンウンと頷いて、何かを納得したみたいだ。
