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神様の願い事

第2章 秘密

《sideN》



和「どしたの。元気無いじゃん」

「そんな事ないけど」


久し振りに神様の顔を見た。
別に願いが出来た訳でも無いし、特に用事も無かったんだけど。


「君はどうしたの? 願いが出来た?」

和「別に」

「別にって事は無いでしょ。だって呼んだじゃん」

和「お前が勝手に来たんでしょ」

「え~...」


別に用があった訳じゃ無いけど、俺はこうやって廃れた商店街に来てるし。
特に呼んだ訳でも無いのに神様はこうやって俺の前に居る。


和「や、でも。会いたかったのかな…」

「ほら」


俺の足元で蹲る神様を抱っこしてやると、神様は大人しく俺の懐に納まった。


和「...神様でも何か悩み事とかあるの?」

「え?」

和「だって、調子悪そうだから」

「調子? ふふ、そんなん無いよ」


微かに笑うけど、なんとなく元気が無さそうに見える。


和「よっこらしょっ...と」


神様を抱えたまま、俺はブロックに腰掛けた。


「溜息出てるよ? 何か悩みでもあるの?」

和「え? ああ、出てた?」


悩みと言う程でも無いとは思うんだけど。
なんか少しもやもやするんだよな。


和「なんかさあ」

「うん」

和「なんかちょっと、イライラするって言うかさ」

「うん?」

和「や、いつもはそんな事無いんだよ? なのになんか最近ね...、いつもの事なのに、それが最近ちょっと引っ掛かるんだよね…」

「どういう事?」


何を言ってるんだ俺は。
てか、どう説明したらこの神様もどきに伝わるんだ。


和「...いつもあるんだよ。いつも見てるの。んで、いつも気になんなかったの」

「うん」

和「それなのに、なんか急に気になるようになってさ」

「...だからなにが」

和「だからぁ...」


はぁ、どうしちゃったんだろ。

なんでこんな。



あの無邪気さが、俺をもやもやさせるんだ。






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