
神様の願い事
第2章 秘密
智「はぁ...」
ちまたで人気の櫻葉コンビが出て行った。
ガチャッと扉の音が閉まると共に、大野さんは溜息を吐く。
潤「...やっぱなんかあったの?」
和「なにかって?」
智「なんも無いよ...」
潤くんがおかしな顔をしてたのはこういう事か。
元気の無さそうな大野さんの事が心配だったんだ。
潤「今日溜息多くない?」
智「ふふ、いつもだよ」
笑うけど、やっぱり元気は無さそうで。
潤「...翔さん?」
智「え?」
潤「さっきさ、何話してたの?」
俺も気になった。
あれからどう?って、やっぱり何かあったんじゃん。
和「この間来てた編集長の事じゃないの?」
智「あ~...、まあ」
この人はよく濁す。
都合が悪くなるとごにょごにょ言ってうやむやにするけど、普段は特に気にならないんだ。
だって大した事でも無いし。
潤「なに? また何かあったの?」
智「や、だから...」
でも今日はうやむやに出来ない。
潤くんだって同じ事を思ってた。
また誘われたのか、俺が言ってやると怒りを露わにした。
智「本当それはもう、大丈夫だって」
和「本当に? そんな簡単に諦める人じゃ無さそうじゃん」
智「だから、翔くんがさ。助けてくれたから」
潤「翔さんが?」
智「編集長、俺と翔くんがデキてると思ってるから」
潤「へ?」
智「だからもうそれは大丈夫なんだけどさ」
和「けど、なに?」
智「いや、翔くんに。悪い事したなと思って…」
また溜息だ。
この溜息に翔さんが絡んでる事は確定だ。
潤「どうして?」
智「だって、そりゃそうだよ」
和「なにが」
智「だって男と、それもメンバーとだよ? デキてるなんて噂でも流れたりしたら」
編集長はそんな噂を流す人では無いと自信満々に言う癖に。
智「困るに決まってるじゃん」
そっか。自分じゃなくて、翔さんが困る事を気にしてるのか。
智「可哀想だよ。好きな人くらいいるだろうし…」
周りに誤解される翔さんを可哀想だと言うんだ。
智「翔くんの立場、考えて無かった...」
また溜息を吐く。
その溜息は、今まで聞いた事が無い程に深くて。
頭を抱える大野さんなんて見た事が無かったんだ。
