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teardrop

第4章 4滴

あれから透花は寝ても覚めても真紀達や家出した日の事が頭から離れずにいる。

これから、どうしたら良いのかもわからない不安。

家や学校から逃げて何日も経つが、嫌な記憶や思いが頭の中を巡り続け、心の時間は止まったまま。

そんな事を考えてばかりいたある日。

透花は喉の詰まるような違和感を感じた。

うまく息ができなくなって動悸が強くなる。

腕や足が震えて、焦れば焦るほど体が硬直し、指先が痺れ出した。

呼吸が激しくなり、息苦しさに床に倒れて身をよじる。

どうする事もできず必死に声を出そうとした。

「苦し…助け…」

その声は誰にも届かない。

透花はこのまま死ぬかもしれないと思った。

『私、死ぬの?でも…どうせ生きてても…』

『…苦しい!やっぱり…死…たくな…誰…助…て…』

酸欠で朦朧としていく意識の中、突然頭の中に響く声。

「…可哀想な…透花…」

透花は心の中で叫んだ。

『助けて!苦しいの!』

それに応えるように声がまた響く。

「大丈夫…救ってあげる…だからもう少し…」

『あなたは誰?』

「私は…あなた…」

透花は遠退く意識の中で上半身と口元が自分に似たような人を見たような気がした。

身体中の力が抜けていく。

透花はもう何も考える事もできずに意識を失った。

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