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teardrop

第4章 4滴

学校では透花が来なくなって何日も経っていたが、日常はあまり変わらず過ぎていた。

ある休み時間。

藤沢は松本の机の上に座り、朝の登校中に松本が買った週刊誌を読んでた。

周りの話し声や音に紛れ、教室の入口で成宮が藤沢を呼んでいたが、藤沢は雑誌に夢中で聞こえてない。

成宮は藤沢の元へ行くと教室をキョロキョロと見渡した。

藤沢はそんな様子をチラッと見ると、また雑誌に目をやって「ナリを振った女なら暫く学校、来てねーぞ」と言った。

「えっ?いや、別に俺は…」

図星を突かれて少し慌てる成宮に松本は「トーカちゃん、ずーっと休んでるんだよね」と透花の席を見ながら言う。

「そう…なんだ。どこか具合悪いの?」

藤沢は雑誌を閉じて「やっぱ、気にしてんじゃねーか」とニヤリと笑った。

「や、違っ…そんなんじゃ…。って、それより陽斗、教科書!」

松本は「またかよ、藤沢。借りたなら自分で返しに行けって言ってるだろ…」と言いながら呆れる。

「いいよ。もう慣れた」と諦め顔で言う成宮。

松本は成宮に憐れみを感じた。

「ハハッ…悪ぃな。机ん中にあるから勝手に持ってけよ」

笑って自分の机を指差して教える藤沢。

成宮は時計を見ると次の授業が始まりそうだからと自分の教科書を持って教室を出て行った。

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