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果てない空の向こう側【ARS】

第2章 長男・智(ゲージツ家)

途中、スーパーに寄って醤油を買った。


右手に鉢植え、左手に醤油を提げて帰った。


智「ただいま。」


玄関の引き戸を開けると、母ちゃんが迎えてくれた。


智「はい、醤油。あと、これ…。」


俺は、鉢植えを母ちゃんに渡した。


母「あら何? わぁ、きれいなクレマチス!」


智「それ、クレマチスっての?」


花屋で一目見て気に入ったから買った。


名前なんて見てなかった。


紫の大振りな花が、つるにたくさん咲いていた。


母「智、ありがと。」


母ちゃんが顔をくしゃくしゃにして笑った。


シワが増えたな…。



智「それと、今月分の食費。」


俺は、封筒の中身の半分を母ちゃんに渡した。

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