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果てない空の向こう側【ARS】

第11章 果てない空の向こう側(智)

煙を深く吸い込むと、頭がふんわりして落ち着いて来た。

また一服したら、目の前がとろんとしてきた。

2回ノックの後、和也が部屋に入って来た。

和「それ、煙草じゃないでしょ?」

和也は窓ガラスを開けた。

とたんにひんやりした空気が吹き込んで来た。

和「母さんが見たら卒倒するよ。」

智「母さん、今日は夜勤だよ。」

和「そう。」

和也は、ベッドに腰掛けた。

智「リリーちゃんは?」

和「帰ったよ。智兄に踏み込まれてドッチラケだよ。」

智「実家に女連れ込むなよ。」

和「しょうがないじゃん。城島先生のとこに連れてくにはいかないし。」

二人でしばらく窓の外をながめた。

ピンクとオレンジのスペインは、だんだんと濃紺の闇に飲まれつつあった。

智「和也、お前大人になったな。」

和「なんだよ、それ。」

智「どこまでいった? Aは終わってBまでか? まさかCまで…?」

和「ABCって、昭和かよ。リリーはまだ高校生だよ? 進路も控えてるし。やるわけないじゃん。」

和也は立ち上がると、学習机の上に置かれた作りかけのシルバーアクセサリーを手に取りしげしげとながめた。

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