テキストサイズ

果てない空の向こう側【ARS】

第11章 果てない空の向こう側(智)

家に帰ると、母ちゃんがバタバタと何やら部屋の中を駆けまわっていた。

和「母さん、どうしたの?」

母「あ、和也、智、お帰り。みっちゃんが産気づいたって、雅紀から電話があったのよ。母さん、今から産院に行って来るから。」

智「え…、とうとう雅紀は父ちゃんになんのか?」

母ちゃんは、カバンにタオルやら飲み物やら詰め込んで玄関に向かった。

智「母ちゃん、俺も行く!」

俺は、なんか居ても立っても居られなくなって叫んだ。

母「あんたは邪魔! 生まれたら連絡するから家で待ってなさい!」

母ちゃんは吐き捨てるように言うと、走って家を出て行った。

智「邪魔って…」

俺はソファにへたり込んだ。

和「実際、そうでしょ。俺らが行っても、できることなんてなにもないし。」

智「そうだけど…。」

和也は、冷蔵庫からペットボトルの紅茶を出してきてグラスに注いだ。

和「待ってましょ。おとなしく。」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ