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隣人は狼系男子っ!

第2章 新学期で新生活

「え……」

「いいから使えって……」

もしかしてこの人、不器用なだけで良い人なのかも?
男の態度に困惑しつつも、ありがたくハンカチを使って涙をぬぐう。

「で、お前はなんで泣きわめいてたんだ?」

「あの……実は……えっと……」

あらかた泣き止み、落ち着いたので今までの経緯を話すことにする。

「……つまり、お前はバカだってことだな」

『バカ』の部分を強調し、呆れた顔で男は言い放つ。
自分でも経緯を話しているうちに、己の馬鹿さ加減に呆れて、一旦落ち着いてきた気持ちがまた一気に沈む。
そこでこの一言である。

「うぅ……自分でもバカなのはわかってますよ……でもそんな言い方しなくても……」

恨めしそうに男をじっと見上げる。
男は深くちらりとこちらを一瞥すると、はぁと深い溜息をつき、

「どこ?」

「え、何が?」

「バカ、お前の家に決まってんだろ」

「そんなバカバカ言わないでよ!」

バカだと連呼され、悲しい気持ちも一気に吹き飛ぶ。
そもそも家がどこかわかっていれば、ここで泣いたりはしなかった。わからないから困っているのに。
もういいですよ! といい、ひなのは重い荷物を抱えて男のもとを立ち去ろうとした。

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