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方位磁石の指す方向。

第6章 scene 5.5






「さーとし、おはよ」

「智くんおはよう。」


眠そうな翔くんとは
対照的に明るく元気な雅紀。

…うん。雅紀らしいや。

だから俺は、雅紀を好きになった。


「翔くん、またあとで
宿題見せて」

「えっ、智くんやってないの?
珍しいね…なんかあった?」

「え、いや…なにもないよ。
昨日は帰ってから
すぐに寝ちゃってさー…」


うそ。

昨日の夜は雅紀と
ずっと話してたんだ。

こんなウソすぐバレるけど。


「智、スマホでもいじってて
寝落ちしたんじゃないのー?」

「ちげえし。」


半分お前のせいだよ。

なんて思いながら
雅紀に微笑みかけた。


「えっ、なになに!?
智なんかいいことあった!?」

「違うし!」


…ったくもう、
ほんと調子狂うなあ。

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