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方位磁石の指す方向。

第6章 scene 5.5






雅紀といると、
不思議な気分になる。

なんでも許せる。

和だったら怒るんだろうけど
雅紀なら。


…きっと俺、
雅紀のこと大好きだから


「…智、お待たせー」


…そう。

今日はデート。


「待ってないよー
全然大丈夫」

「ほんと?よかったー」


雅紀はニコニコしながら
俺の左手を触ってる。


「…手、繋がないの?」

「へ?」

「触ってる、から…」

「…くふふっ、」

「な、なに笑ってんの…」

「可愛いなぁって思ってさ?
もー、そんなに俺と手ぇ繋ぎたい?」


いつもより大人っぽい
雅紀の表情に
ドキドキしながら

「違う…」

って照れ隠し。



…俺、ほんとに
今日が楽しみだった。

ドキドキが収まりそうにない。


「…ね、智」

「わっ…」


人混みから抜けて、
狭い狭い裏道を通る。

…ここ、俺たちの秘密の近道。


「ほーら、あっという間に着いた。」

「はぁー、狭かったぁ…」


ふたりで笑いながら
人混みを歩く。


…それがすげえ幸せ。

多分今日、俺たちはどの
カップルよりも幸せだ。

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