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方位磁石の指す方向。

第1章 scene 1

二宮side



掴まれた腕が熱い。


キラキラと輝くあの笑顔。
男らしい背中。


智とは全く違う。

俺より背が高くて、
女性の恋人にしたい男性の
理想像なんじゃないかなぁ…。


入学式が終わったあと、
俺と翔さんは一緒に怒られた。

破れたフェンスから飛び下りるのは
本当はやっちゃいけないんだって。

でも、新入生の俺は
そんなこと知らない。

だから、この場合はやらせた
翔さんが悪くなるんだって。



…なんか、申し訳ないなぁ。

でも、智が寝坊したから
いけないんだよ。


昨日早く寝ろって言われてたのに
寝たのは今日だったし…。

俺は慣れてるからいいけど
智は最低でも九時間は寝なきゃ
次の日居眠りするんだから…。


「…じゃあな、二宮。」

「あ、うん…。」



…いっちゃった。

案外…爽やかなんだ。


優柔不断そうに見えるけど…。



「…はぁ、」


引っ越してきたのは一昨日。

友達なんてできなくて。


父さんと母さんが事故で亡くなって
親戚の大野さんちに引き取られた。


智とはすぐに仲良くなった。
ゲームしたり漫画読んだり。

楽しいもん。



「……。」



真ん中より少し後ろ。
どっちかって言うと窓側。

そんな席。
微妙だな…。



翔さんは…櫻井だから前の方。
相葉さんと智は前の方。



「どこ中?」

「…え?」


とんとんって背中を叩かれて
俺に声を掛けてきた顔の濃い人。


……誰?


「…え、と…。」

「あ、俺松本潤ね。
君は?」

「二宮、和也…です。
中学は…こっちじゃない。

引っ越してきたから…。」

「へーぇ。
わかんないことあったら聞いてね。」



そう言って潤くんは小指を出した。

わかんないって顔してる俺に
潤くんはへらっと笑う。


「ほら、よくやるやつ。
指切りげんまん。

俺ら、友達でいいよね?」

「…いいの?
友達、でいいの?」

「うん。いいよ。」

「…ありがとう。」

「…友達になろって言って
お礼言われたの初めてかも笑」

「ふふ、」




潤くんとは仲良くなれそう。

席だって後ろだし。

学校生活、
ちょっと楽しみになった…かも。

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