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方位磁石の指す方向。

第1章 scene 1






「和んちってどこ?」

「…智の家。」

「え、同棲?」

「違うよ!そんな趣味ない!
従兄弟なの!智って言う一個上の奴!」

「ふーん…。」


…あ、そんなの趣味ないって
言ったけど…。

翔さんへの
気持ちはなんだったのかなぁ…。


助けてもらって、仲良くしてもらって
嬉しかっただけなのかも。

うん。そうだよね。


男と男がなんて、
気持ち悪いもんね。



「潤くん?」


先を歩いていた潤くんが
下駄箱で止まる。



潤くんの視線の先には…
翔さんたち。



「潤くん、あれ。
智だよ。ふわふわしてるの。」

「…あの人たち、かっこいいね。」

「え?」

「なんかさ、モデルみたい。」

「…確かに。」



……やっぱり、誰から見ても
あの人たちはかっこいいんだよね。

智を除いて。


「…あれが、翔さんだよ。
で、背が高いのが相葉さん。」

「ふぅん…」



やっぱり、こう見ると
翔さんってかっこいいなぁ…。

俺が見惚れていたら、
潤くんに帰ろって言われた。


「うん。そうだね。」

「どっか寄ってく?」

「んーん。いいや。
潤くんは行きたいとこある?」

「いや、特には……。」



「じゃあ帰ろ。」



早く帰ってゲーム進めなきゃ。

俺らが校門から出ようとしたら
腕を引っ張られた。



「二宮、一緒に帰ろ。」

「…翔さんっ

…腕、急に引っ張るのやめてもらえます?
肩脱臼するんで。」



…あ。

また可愛くないこと言った。


「あー、すまんすまん。
…横の子は?」

「潤くんだよ。
仲良くなったの。」



潤くんは翔さんに
ぺこって頭を下げる。


「よかったら、潤くんも一緒にどう?
これからファミレス行くんだけど。」

「えっ…」

「なんだよー。二宮は行かないのか?」

「…行かない。」



……あ、やば。

ほんと俺、素直じゃない。


行きたいのに言えない。

結局、俺は帰って、
潤くんはついてくって。



「…行きたかったなぁ。」


今言ってももう遅いけど。

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