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廃屋的B少女

第3章 家路

実際の経験に先立つて無意識的に夢想していた官能小説めいた展開とは程遠い滑稽な結果に終わった私は何もなかつたやうに家路と云う名前の平穏な日常の世界に戻った。事実、特に何事もなかったのであるが、廃屋でオナニーに耽っていた事は世に知れ渡つているのだらうかと云う一抹の不安を覚えつつ「恰も甘いマシュマロのやうな頭毛の髪容が良い、目附が良い」と云う自宅付近の商店街の魚屋のオジサンのいつもの決まり切った誉め言葉を聞くと私の優美は少しも減殺されていないのだ、と安堵した。白状の序に今一歩進んで云うと、魚屋のオジサンと接吻する事も嫌ではなかつた。

あの赤子のやうな唇は可愛らしい、と思って魚屋のオジサンに熱い視線を送っていたら、勘違いした魚屋のオジサンは「お嬢さん、ちょいとお尻を触らせて貰う事は出来ないでせうか?」と阿呆らしい事を口走る有様。

正気の沙汰とは思えないが、此の場末の生活感漂う界隈に住む住人は冗談と云う言葉を全く知らないので、魚屋のオジサンは若し破瓜期の美少女のワタクシの了解が得られれば直ぐにでも人気のない処に連れ込んで全裸にしてハメてしまうだろう、と瞬時に理解した、否、日頃からSEXの事ばかり考えてしまうメンヘラだから瞬時に理解出来てしまった。続く( ̄。)っ)。

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