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男子校の恋愛事情

第1章 出会い


高校1年生の春

先輩を追いかけて地元から離れた学校に入学した俺、西条翔空。中学時代の顔と学年しか知らない先輩を追いかけて来たはいいものの…

「名前知らなきゃ探すの大変だよな…」

俺の通う学校はそれなりに評価の高い進学校で、一学年300人を超えている。そんな中で名前も知らない人を探そうなんてなかなか無茶な話だと思う

先輩について覚えているのは明るい茶髪で、今は3年生ってことくらいだ。まともに話したことなんて1回しかないし正直声もはっきりとは覚えていない

入学して1週間。なんの手掛かりもなしか…

ため息をつきながら廊下を歩いていると、角を曲がって来た人にぶつかった

俺が当たった衝撃でその人が手に持っていた資料の山が床に落ちてバサバサと音を立てる

「!すみません!」

慌てて拾い集めて初めて相手の顔を見る

サラサラの黒髪にはっきりとした顔立ち。男の俺から見てもカッコイイと見惚れてしまった

「いや、俺も悪かった」

そう言って顔を上げたところでお互いの目が合う

うっわ、改めて間近で見ると本当美形だなこの人。……てかめっちゃ見られてんだけどなんで?美形に見られると男とは言えどさすがに照れ…

「なあ」

「は、はい?!」

突然のことに驚いて声が裏返ってしまう

「お前、クラスと名前は?」

え、もしかしてぶつかったこと怒ってるのか?だからクラスと名前確認してまた今度仕返しに…?!

「聞いてんのか」

「あ、えっと…1年3組の西条翔空です」

「へぇー翔空か。俺は3年の久我晴斗」

名前呼び?!つーか3年生?!てことは先輩のこと聞けるチャンスじゃ…!

なんて1人舞い上がっていると久我先輩は立ち上がったかと思うと「またな」と言って去ってしまった

しまった聞きそびれた!!…そういえば今またなって言った?もしかしてマジで仕返しに?!


こうして幸か不幸か、俺は久我先輩と出会った

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