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なぜ?

第8章 秘密

名津子の父親は、将来を嘱望された外務省の官僚だった。
代議士の家に生まれ、本人も極めて優秀、人格者でもあった。
順調に行けば、大国の大使も夢ではない。

しかし、政略結婚を嫌がり、恋愛での結婚を選んだ。
その相手が名津子の母親。

息子には相応の家柄の娘を望んだ名津子のお祖父さんは、
当然結婚に大反対。

両親は駆け落ち同然で結婚し、一生外国を渡り歩くこととなった。

いつか息子が謝ってくるんじゃないかと思い、不遇の人生を歩むように仕向けてたお祖父さん。

父親に意見することのできなかった慶一郎は、少しでも弟夫婦が安定した国に赴任できるように陰ながら力添えをしてきた。

両親は名津子を学校に通わせなかったのは、父親の指金で誘拐を恐れた結果だ。

しかし、イタリアでのテロに巻き込まれ、名津子の両親は帰らぬ人となった。
凄惨な現場からは結局両親の遺体は見つからなかった。

その後、当主となっていた慶一郎は、一人になった名津子を引き取った。
元々子供のいない慶一郎は、名津子を我が子のように大事にし、
亡き母の土地に家を建て、そこに名津子を住まわせた。
それが名津子が住んでるバカデカい家だ。

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