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異世界での出来事

第2章 ここはどこ?

「これに手を。」

出されたのは、大きな水晶玉。直径30cm以上はあるであろう。推測。

台座の上に置かれた水晶玉に手を乗せる。

なにも起こらない。何か見えるわけでもない。

「う~ん。」眉間に皺を作り考え込む賢者。

無色透明。適応魔術なし。

どんな混色になるかと、城中で噂されていたのだが、残念だ。

一般人程度。

なんとも見通しの悪い結果だ。

とりなおし、賢者は魔石を取り出す。

「これを握って魔力を込めろ。」

「魔力を?どうやって?」

説明を聞いて、石に魔力を込める。

平気な顔をしているところを見ると、魔力もなしってとこかな?

魔石を机の上に転げる。

「なんと!黒光りしているだと!」

「もう入らないみたいだったから止めた。」

握る前は、無色透明の空の魔石だったのに。紫を通り越して黒だと!

人類と呼ばれる中で、一番魔力を持っていることになる。

(もったいないなぁ!)

兵器で言うなら、最終兵器である核兵器級ではあるのだが、それを発射する道具がない。

つまり、宝の持ち腐れである。

色が変わっていることに気付き、不思議そうに見ている。

一応、生活魔法を教えてみるか。

生活魔法はすべてにおいて完璧までの習得の速さ。

普通の人間だとすべて習得するまでには1年以上はかかるであろうに。

龍之介は、30分も掛からなかった。

勘違いしたまま、指先からライターの火程度の大きさの火を見て、火魔法と勘違いしていた。

手の先から水を出せば、水魔法と勘違いをしている。

「その大きさや威力で、どうやって魔物を倒すんじゃ!」

呆れたように息を吐いて消えていく火。

「それは生活魔法じゃ!攻撃魔法ではないぞい。」

「便利ですね。」

「便利だから、生活魔法なのじゃ。」

「魔法はこれぐらいにして、昼からは剣術じゃ!」

「王国騎士団が面倒を見てくれるからの!ワシの出番はここまでじゃ。」

「おまえさんは、魔法は使えんからワシはこれまでじゃ。」

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