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売り専ボーイ・ナツ

第4章 ボーイ仲間との日常

「ねぇショウキ。あんたはもう飲みには戻らへんの?」

セツコさんがふとショウキくんのほうをみて、そう聞いた。

「無理ですよー。今さらじゃないですか」

ぶっきらぼうに返しているようで、ショウキくんの声には少しの緊張がみえた。

「あーあんたは無理か。まぁな。ビデオ出てるもんな」

「あ、あれでしょ。こいつがおネェ隠してタチやってたやつ」

タチというのは、男同士のセックスで男役をするほうのこと。
どうやらショウキくんはどこかのメーカーのゲイビデオに出ていたらしい。

「一回ビデオとか売りに行っちゃった子ってなかなか普通の飲みの店に帰ってけぇへんからねぇ。人足りなくて困ってんのよ」

あっ、と思いついたような顔でセツコさんが俺のほうを向く。

「あんたは?まだ2,3日やろ。飲み屋で働くつもりない?」

「飲み屋ですか?」

ヒロさんも俺のほうを向き、説明してくれる。

「セツコさんな、この辺で3件のゲイバーのママやってんだよ。でも、最近人が辞めて、足りなくて困ってるんだって」

「あぁ・・・俺、夏休み終わったらもう大阪いないんで」

俺は少し残念そうな演技をして、セツコさんにそう答えた。

「あぁ、大阪の子じゃないんや。そうだわな、大阪弁しゃべってないもんな。」

「短期なんだ。どこなんだっけ?」

ヒロさんがセツコさんに重ねてそう聞いた。
俺が短期だけの入店だってことはコウさんから伝わっていないようだ。

「名古屋です。大学の夏休みだけこっち来てるんです」

「なんで大阪なん?」

今度はショウキくんが聞く。

「名古屋なら、お店いろいろあるやん」

確かに、ネットで調べていた時、名古屋の売り専のお店もいくつか出てきた。
でも、

「なんとなく、地元でやる勇気がなくて」

そう答えた。

「そうやって思ってる気持ち、忘れないようにしなあかんよ。この子みたいに、ビデオに出て名前も顔も知られたらもう夜でしか生きていけへんからね」

セツコさんの言葉に、ショウキくんが少し気まずそうに笑った。
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