アップルパイと君の隣で
第1章 先輩キスして下さい。
次の日、酔いの冷めた小雪を叩き起してすぐに部屋を出た。
あの部屋に出来るだけ居たくなかった。
ましてや佳奈のベットで眠る気にはなれず小雪の隣のソファーに腰掛けていたが結局一晩中寝付けなかった。
あいつの佳奈の甘ったるい匂いがする。
唇の柔らかい感触が消えてくれなかった。
「ひかり....」
罪悪感からか彼氏の名前を呟く。
•*¨*•.¸¸♪•*¨*•.¸¸♪
携帯が光ってオルゴールの音色が私に届いた。
光が好きだと言っていた曲のサビをオルゴールにしたものだ。
案の定、そこには橘 光(たちばな ひかり)の文字が映されていた。
私の好きな人。
「もしもし、颯那?」
携帯に出るといつもの光の声が耳元で聞こえた。
低めで透き通るような優しい声色。
落ち着く...。