アップルパイと君の隣で
第17章 メールを送るには
「佳奈さん!!」
「森下さん?」
「あのっ!この後ご飯とかどうですか?」
「え?」
「佳奈さんともっと色々お話してみたくて...だめですか?」
上目遣いでその可愛らしい頬を染めて尋ねられるとつい頷いてしまいそうになる。
それに彼女との仕事は思いの外呼吸があったように思う。
交流を持つのは悪くはないと思うが、今日は先輩が早く帰ってくる日なのだ。
一刻も早く帰りたい。
「だめ...じゃないけど、今日はちょっと」
「そうですか、じゃあ連絡先交換しませんか?」
「うん、それなら」
「本当ですか!?✨✨」
「え?うん」
これ以上ないくらいにキラキラとした目を向けられる。
そんなに喜ばれるほど私の連絡先に価値などないと思うのだけど...
「佳奈さんのアドレスが私のケータイに入ってる💕」
そう言ってアドレス帳を眺める森下さんは心底幸せそうだ。
憧れを通り越している気がするのは私がそういう世界で生きてきたからだろうか?
普通の女の子の同性に対する憧れという気持ちを図りかねる。
私が先輩に抱く気持ちとの違いが見つけられずに焦る。
なんて、今日出会ったばかりの年下の女の子相手に何を考えているのだろう。