
黒川とぱんぱかぱん!
第1章 何者なのじゃ?
あ、
「黒川…」
「黒川?もうとっくのとうに帰っただろ」
そっか…
そうだよな
お礼と店の場所…どうしよ
「おい、もう行くんじゃなかったのか?」
教室のドアから背を向けると
園原はそう言った
「一瞬待って!」
俺は黒川の席を探した
「窓際から二番目の列の黒板からも二番目の席」
「え?」
園原の方を振り向くと
なんでもお見通しだっ!って感じに余裕な表情をしていた
「黒川って言ってたし、自分の席に戻るような感じじゃなかったからさ」
「さすが」
俺は要らないプリントとシャーペンを鞄から取り出して
黒川の机を借りた
『お昼、パンありがとな。助かった。
それにめちゃくちゃうまかった。
今度はもらうんじゃなくてちゃんと買いに行くから
良かったら店の場所教えて欲しいです
永野悠真。』
プリントの裏にそう書くと
机のなかに入れようとした
?
なかには教科書が数冊入っていた
まあ、皆置き勉くらいするよな
俺はなんとなく一冊手に取った
『黒川虹花』
教科書の端にそう書いてあった
黒川はくろかわだよな?
名前…にじ、か…?
読めねぇ。
いや、にじかであってるのかも
それ以外になんて読むんだ?
「盗むなよ。」
名前を当てるのに夢中で園原を待たせてたの忘れてた
一瞬って言ったのに
「誰が盗むかよ。俺が盗むのはふーじこちゃんのハートだけよ。」
冗談をかましながら
教科書と紙を一緒に中に戻した
「よし、行こうじゃないの次元」
「ばかたれ、俺は銭形だ。なにがハートだけよだ大泥棒が。
ルパーン!今日こそ逮捕だー!」
それを見て俺も更にのりにのって
逃げるように学校をあとにした
