出会い系な日々
第14章 遊ばれる女 春菜・六甲
頼む!頼む!
ブレーキを踏む足に全神経を集中させる
ズッ…ズズッ…
タイヤが少しずつ摩擦を取り戻す
ズー…ズズズーー
ブレーキが効き始め、ゆっくりゆっくりスピードが落ち始めた
ギ…ギ…ギギィ…
止まった!
こっちからだとボンネットが山の斜面に突き刺さってる様に見えるぐらいギリギリ
普通に走ってたら間違いなく突っ込んでた
道に迷うわ、事故りかけるわ、最低なドライブ
もう笑うしかない…
「あははは、あっぶなかったな~!」
帰りの運転まで不安にさせないよう無理やり明るく振る舞う
「も~勘弁してよ~!」
安堵と笑いの入り混じった反応が嬉しい
「もう帰る!」とキレられてもおかしくないのだから
「ごめんごめん。でも凍結を察知してスピード落としてたやろ?さすがやわ(笑)」
「よう言うわ~(笑)」
笑って誤魔化したものの手のひらは汗でビッショリ
ぶつからずに済んで本当に良かった
そこから交差点までは時速10キロの超徐行運転
あのハンドルから全ての抵抗が消える感触は二度と味わいたくない
歩いた方が早いぐらいのスピードで交差点に辿り着いた
「はぁ~疲れた…」
とりあえず運転を休みたい
信号から30m程手前の暗がりに車を止めてサイドブレーキを引いた