出会い系な日々
第1章 東京の佳奈・告白
チャットという言葉は知ってはいたが意味は知らない
調べてみると見知らぬ者同士が直接会話が出来るようだ
しばらくシステムや流れを学習した後、ドキドキで2ショットチャットをやってみる
もちろん彼女が寝てから…
空室に入って自己紹介と呼び込みを書き込む
そしてひたすら待つ…
待つ…
待つ…
10分経っても音沙汰なし
それもそのはず圧倒的に男が多いのだ
部屋に待機してるのはほぼ男で、たまに女性がいても瞬時に満室となる
完全に女性優位の世界であり、男は戦わないと女に辿り着けない
それからは悪戦苦闘する日々が続いた
何度も失敗を繰り返しながら少しずつ女性と話せる機会は増えたものの、会話は長続きしなかった
そんなある日のこと
珍しく女性が待機してる部屋を見つけた
さっきも言ったように女性待機はコンマ数秒で勝敗が決まる
ダメ元で入室するとやはり満室の文字が
でも強制退室させられる男も多いので様子を見る
すると、すぐに空室へと変化
瞬時に飛込んだ部屋に待っていたのは東京の佳奈という子だった
ちなみに俺は大阪である
まずは「こんばんは♪いや、もうおはようやね」と話しかける
すると「ごめん!これからディズニーランド行くから落ちるね」と速攻返された
時刻は午前6時
残り時間もないしダメ元で落ちる間もなくしゃべり続けると、これが思いのほかウケた
どうやら内容より大阪弁が楽しいらしい
「ミッキーマウスって知ってる?あれ中に人が入ってんねんで。俺が行った時にタバコ休憩してるとこ見た(笑)」
「こらー!(笑)ミッキーマウスはミッキーマウスだもん!」
「シフト厳しいってボヤいてたわ(笑)」
「夢が壊れるー!(笑)」
今まで喋った女性と違ってテンションが高く、ボケると必ず乗ってくれる
チャットをしてて本気で楽しいと思えた瞬間だった
話し終わったのは結局午前8時過ぎ
「ほんとに行かないとダメだから落ちるね!また今夜話してくれる?」
そう言われて嬉しいのなんの
初めて結果を出せた瞬間だった
この時、実際に会う事になるなんて夢にも思わなかった