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出会い系な日々

第4章 東京の佳奈・再会


「今から乗るね〜(*^o^*)」

夜行バスに乗り込む前に佳奈からメール

新宿を23時頃に出て梅田に6時到着予定

俺は夜型生活が染み付いてたのと、複雑な思いが交錯してほとんど眠れないまま朝を迎えた

まだ空が白み始めた午前5時、俺は始発に乗って梅田に向かう

やがてボーッとしながら早朝の人もまばらな梅田の地下街を歩き、バスターミナルには6時前に到着した

しばらく待っていたが予定時間を30分過ぎても佳奈のバスは来ない

メールも来ないので電話をしても繋がらず

出来れば地べたに座って一眠りしたいぐらいだ

その後も電話をかけるが「電波の届かない所におられるか…」と言われ続けてさらに1時間

いい加減ムカついてきた8時頃になってやっと電話が繋がった

「もしもし?今どの辺なん?」

「ごめんね…まだ名神で凄い渋滞みたい」

「まだ名神?どこ走ってんの?大阪には入ってるやんな?」

「多分入ってると思う…よくわかんない…ごめんね…」

周りに気を使ってヒソヒソ話す佳奈を責めても仕方ない

「わかった。気にせんでええよ。新御堂に入ったらまた教えて」

ここで一旦電話を切る

再び電話がかかって来たのはさらに一時間後だった

やっと吹田インターを出たが新御堂も渋滞してるとの報告

俺が梅田に着いてからもう3時間が過ぎた

すぐ側の映画館前では名探偵コナンを観る家族連れが大行列

それを眠い目で眺めてる自分がバカに思えてきた

その間にもバスは次々と到着するが佳奈は来ない

「限界や…帰って寝たい…」

何度も頭に浮かんでは消えていく

もう座ってる事にさえ疲れた俺はバスが到着する度に回りをウロウロ

何十台ものバスが到着しては客を降ろして去って行った

「あっ!」

やっと新宿発のバスを見つけた

もう10時半だ

窓から激しく手を振る佳奈に作り笑いで手を振り返す

疲れでなんの緊張感もない

でもこの調子では2日間を乗り切れないと思った俺は気合を入れ直して佳奈を迎えた

「お疲れさん!」

自分にも向けて爽やかに

「ごめんね!ほんとにごめんね!もう全然動かなくて」

「ゴールデンウィークやから仕方ないわ。ちょっとバテたけどな」

これぐらいは言わせてもらおう

久々の再会に緊張してか、佳奈は目も合わせず何度も何度も謝っていた


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