テキストサイズ

出会い系な日々

第4章 東京の佳奈・再会


梅田と新梅田シティの間には広大な貨物ターミナルがあって、その下をとても長いトンネルでくぐらなければならない

新梅田シティーへ行くのにはその狭いトンネルしか道はなく、とても人通りが多くて蒸し暑かった

疲れもあるのか佳奈は無口だ

しかし真ん中あたりまで来て明らかに様子がおかしい事に気づく

話しかけてもただうなずくか首を横に振るだけ

機嫌が悪いのかと思って佳奈の横顔をのぞいてみると、眼から涙がボロボロと溢れてる

えっ!?泣いてる!なんで??

京都の時も号泣したので泣くだろうとは思っていたが、まさかこんな早くに泣き始めるとは思わなかった

しかもこの人通りの多いとこで

すぐ声をかけようかと思ったが、多分これでも必死で堪えてるはず

話しかけた瞬間に号泣されるとで騒ぎになりかねないので気づかないフリをした

トンネルを抜けると目の前に飛び込んでくる高層ビル

「ほら、HEPより全然高いやろ♪」

白々しく話しかける

「…うん……ほんと…」

感情を抑えて棒読みで返事する佳奈

涙を拭うとバレると思ってるのか頬は涙でビチャビチャだ

気づかないフリも限界だった

「なんで泣いてるん!どうしたん?」

理由なんか分かってるくせに

「泣いてない…」

佳奈は真っ直ぐ前を見ながら嘘をつく

「いや泣いてるやん。泣いたら寂しくなるから楽しく行こ?」

「泣いてないもん!」

ここで初めて涙をぬぐった

泣かれると男はどうしようもない

「ん〜じゃあその目から出てるのはよ止めや?」

佳奈はうなずくと何度も何度も涙をぬぐった




入場券を買ってエレベーターに乗り込む

そしてビルとビルを繋ぐ空中エスカレーターに乗り継ぐと、高層ビルでは珍しい屋外の空中庭園に出た

大阪を360°見渡せる素晴らしい夜景が広がってる

「わ〜きれい!」

それを見て元気が出たのか何とか泣きやんだみたいだ

「大阪城見たい♪」

やっと話しかけてくれて安心する

俺は大阪城が見える場所まで連れてくと、後ろからギュッと抱き締めた


ストーリーメニュー

TOPTOPへ