テキストサイズ

出会い系な日々

第6章 豊中の久美・憤慨


ところがここで久美に電話がかかってきた

あの彼かと思うと複雑…

しかもこの電話があり得ないくらい長い

終わりそうもないのでトイレに行こうとその場を離れた

混んでる駅以外で探し回ったが、トイレがある様な建物がどこにもない

あちこち回った挙句に我慢しきれなくなり、駐車場の隅で立ち小便する始末

かなり時間を食ったので「待たせてごめん!」と謝る気満々で戻ったらまだ電話してた

ダメだこりゃ…

誰かと一緒にいるのにお構いなく長電話

こういう常識のなさを見せられると、今日見た良いとこなんて全て吹き飛ぶ

時間も既に10時過ぎ

もう休憩してから帰るには厳しい時間だ

そもそも花火大会の直後でこの周辺のラブホは満室だらけだろうし、伊丹以外で俺がチェックしたラブホは阪急沿線だけ

それ以前に彼と長々電話してる女を口説くのもバカらしい

「これが現実やな…やめやめ…」

電話が終わるのを待つ気も失せて帰ることにした

「帰るわ…」

「あ、うん…今日はありがとう。またね」

またね?また暇つぶしに使われるのか

作り笑いで改札をくぐる

ホームに降りて電車を待ってるとジワジワ湧き上がってくる敗北感

「えっ?なにこれ?花火で横におっただけの人やん…」

浮かれていた自分を殴ってやりたい

俺はムカムカしながらやって来た電車に乗り込んだ

ドアに寄りかかって車窓を眺めていると、だんだん怒りより寂しさが勝ってくる

「あの浴衣脱がしたかったなぁ…。男ならダメ元で誘うべきやったかな…」

あの時、俺は結果が怖くて逃げたのかも知れない

後悔先に立たず

「まあしゃあない…こういう事もある」

途中まではときめいたデートだったので良しとしよう

「騎乗位で浴衣の乱れた久美を下から眺めたかったな〜。そのあと後ろからバックでさらに乱れさせて…はぁ〜、次こそ抱いてやる!」

流れる夜景を眺めながら妄想に耽り、軽く勃起する情けない男だった



ストーリーメニュー

TOPTOPへ