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出会い系な日々

第6章 豊中の久美・憤慨


駅前まで来たところで行き場を失い立ち止まる二人

騒がしい人混みの中で険悪なムードを醸し出す

たまに見るカップルのあれだ

まずは久美から話すのをひたすら待つが黙って遠くを見つめるのみ

怒りがグングン込み上げてくる

だが顔には出さない

もう一度だけ、もう一度だけ冷静に聞いてみようじゃないか

「なぁ、何があった…」

「なんでもないって!」

ちょい食い気味の逆ギレ返事

「なんでもないのにカラオケからずっと携帯見てんのか?」

久美はそれを聞き流すかのように無視

しばし沈黙の後、ダルそうにこう吐き捨てた

「はぁ……どうする?帰る?」

ブッチーーーン!

頭の中でハッキリ音がした

「ふざけんなよ!ここまで呼び出しといてなんやねん!」

久美は驚いた顔で固まる

まさか俺が怒るとは思ってなかった様だ

「ええ加減にせえよ!おまえが呼び出したんちゃうんか!無視しまくった挙げ句に帰るってなんやねん!舐めてんのか!」

久美の目が少し潤んでるが関係ない

「やってられるか!」

俺は久美の顔を睨みつけると一人その場を立ち去った

改札を抜けて電車に飛び乗っても怒りは収まらない

「あ〜ムカつく!最悪や!神戸まで何しに来てん!もっと早くキレるんやった!完全に舐められてる!あ〜ムカつくムカつく!キスしようとした自分を殺したい!あああああ!」

こんな腹が立ったのはいつ以来だろう

俺は彼女とも滅多に喧嘩しないし、喧嘩してもとりあえず謝るか流すか理屈で返すタイプ

もちろん女性に手を上げた事もない

その俺が街中で女に怒鳴るなんて自分でも驚いた

今電車に乗ってる事にも腹が立つ

家までがえらく遠く感じてさらにムカついた

「もういい!終わり!顔も見たくない!」

俺はこのまま一切連絡を取らずに久美との関係を終わらせると決めた


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