愛は要らないから…
第8章 堕落
「じゃ、行くわ」
「うん」
大和が乗る電車が到着して
軽く別れる挨拶をした
「忘れ物…」
「!!」
俺に背を向けたのは一瞬
ふっと笑って顎をくいっと上に向けられて唇が触れた
「なっ…」
「じゃあな」
発車のベルが鳴るなか
不敵な笑みを浮かべられて電車に乗って去る大和を俺は固まって見ていた
マジで…は?え…?
なんで!
つか、異性でもこんな人がたくさんいる場所でなんて恥ずかしいに決まってるのに
兄弟ってのは誰も分からないだろうけど
男同士だし!
絶対いろんな人に見られた……っ!
「っ―――」
大和も、もう行ったし
俺はその場から逃げるように
そそくさと家に帰った
本当にあんの…ばか!