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愛は要らないから…

第11章 知らぬ間に



「それじゃ、出発すんぞー」


校外授業当日、金曜日。

学校から出るバスに、クラス全員乗り込み、座ると
前にいる担任がそう言った


するとバスは動き始め
どんどん学校から遠ざかっていく


「楽しみだね!」

「うん…」


席順は自由だったため
当然のごとく、数少ない仲のいい荒井が俺の横に座っていた


荒井は既にテンションが上がっているのか
顔を輝かせ、めちゃくちゃ俺に話しかけてくる


本当に楽しそうだな
俺も楽しみっちゃ楽しみだけどさ…


「でさ、その時に…」「ごめん、少し静かにしてもらっていい?」

「え、あ、うるさかった?」


荒井はしまったと言うように申し訳なさそうな顔をしている


「いや、俺も話したいんだけどさ
俺、長時間乗り物に乗ってると酔いやすくて…

だから、まだ大丈夫なうちに寝たいんだ」

「それならそうだって、早く言ってくれればいいのに…!
ごめんね、秋くん」

「ううん、俺の方こそごめん

着いたらその分はっちゃけよ?
ずーっと前から作戦たてて楽しみにしてたんだからな」

「うん!絶対約束だぞ!」


やっと笑顔の戻った荒井の顔を見て安心した

その約束に頷くと
眠りにおちれるように俺は目を閉じた


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